近年、SNSの中でもとくにX(旧Twitter)では、ハリー・ポッターシリーズに関する投稿が今なお途切れません。中でも、ひときわ多くの共感や考察が集まっているのが「セブルス・スネイプ」についてのツイートです。
彼の言動をめぐっては、かつて賛否両論が巻き起こりましたが、今のファンたちはどんな感情を抱いているのでしょうか。今回は、X上の投稿をもとに、スネイプ先生に関する「感情傾向」を分析しながら、改めてその人気の理由を探ります。
◆1.「嫌いだったのに好きになった」派の増加
まず目立つのは、「昔は嫌いだったけど、今はスネイプが一番好き」と語るツイート。
彼の複雑な過去やダンブルドアとのやり取り、そして「Lily after all this time?」「Always.」の名シーンを大人になって見返したときに、ようやく彼の“愛の形”を理解したという声が多く見られます。
とくに20代後半から30代のユーザーの間では、学生時代に「怖い教師」として見ていた彼を、社会に出てから“責任を背負う人”として再評価する傾向があります。
仕事や人間関係で「正義と義務の板挟み」になる経験を通して、スネイプの葛藤を自分に重ねる人が増えているようです。
「スネイプ先生の厳しさは、優しさの裏返しだったんだよね」
「子どものころは怖いと思ったけど、今は一番リアルな人間だと思う」
このようなツイートが、Xでは毎日のように拡散されています。
◆2.「報われない愛」への共感と切なさ
次に多いのは、「リリーへの一途な愛」に対する共感や哀しみの声です。
リリーを守るために人生を捧げたスネイプの行動は、現代SNS世代にとって“報われない愛”の象徴ともいえます。特に「一途」「誠実」「不器用」といったキーワードとともに投稿されることが多く、恋愛観や人生観に重ねるユーザーも少なくありません。
「スネイプ先生の愛は、恋じゃなくて祈りみたい」
「『Always』って言葉、いまだに心に残る」
また、こうしたツイートはポエム調や引用リツイートの形で拡散されやすく、ファンアートやエディット動画のキャプションにもよく使われています。
感情的な共感だけでなく、「彼の生き方そのものに美学を感じる」という声が多いのも特徴です。
◆3.「ダンブルドアへの複雑な感情」
分析を進めると、「スネイプ vs ダンブルドア」の関係に言及するツイートも多く見られました。
とくに、ダンブルドアがスネイプを「駒のように扱った」とする批判的な意見や、「それでも彼は従ったスネイプの強さに泣ける」という感想など、両者の対比を語る投稿が目立ちます。
「スネイプがどれほど孤独な立場だったか、ダンブルドアはわかってたのかな」
「あんな理不尽な役割を引き受けたのに、最後まで裏切らなかったのがすごい」
これらの投稿からは、スネイプが「上司に翻弄されながらも使命を全うする人」として見られている傾向が読み取れます。
つまり現代のSNSユーザーは、彼を“悲劇の恋人”としてだけでなく、“責任を果たすプロフェッショナル”としても評価しているのです。
◆4.ユーモアとネタ文化への昇華
意外にも、スネイプ関連ツイートの中にはユーモア要素の強い投稿も多数存在します。
たとえば「スネイプ先生が会社にいたら絶対怖い上司」「Zoom会議でミュート忘れて『ポッター!』って言いそう」など、職場あるあるや日常ネタとして再構築されたツイートが人気です。
これは、彼の「厳格さ」や「皮肉屋」といったキャラ性が、現代のネットミーム文化と相性が良いため。
TikTokやX上では、スネイプの音声素材を使った“ネタ動画”や“モノマネ投稿”も増えており、シリアスな人物像とギャップのある笑いが共感を呼んでいます。
◆5.感情分析の結果:共感と敬意が主流に
ツイートを全体的に見ると、ネガティブな内容(「嫌い」「怖い」など)は全体の約1割程度。
残りの9割近くが「尊敬」「共感」「切ない」「大人になって理解した」など、ポジティブまたは共感的な感情で占められています。
とくに近年では、「スネイプ先生のように信念を貫く生き方がかっこいい」といった声が増加。
単なる“悲劇の人物”ではなく、“生き方のロールモデル”として見られるケースが多くなっています。
この傾向は、社会の変化ともリンクしています。成果や効率が重視される現代で、「信念を貫く」「誰にも理解されなくてもやり遂げる」スネイプ像が、“静かなヒーロー”として再評価されているのです。
◆6.SNSが変えた「スネイプ像」
Xを中心としたSNSでは、キャラクターの「再解釈」が進む傾向があります。
スネイプの場合、映画や原作での印象に加え、ファン同士の語り合いや二次創作によって“多面的な人格”が描かれています。
かつては「冷たい教師」だった彼が、いまや「孤独を抱えてなお優しかった人」「誰よりも誠実な裏方」として語られている。
それは、SNSがもたらした“共感の連鎖”による再定義といえるでしょう。
◆まとめ:スネイプは時代を超える「共感型ヒーロー」
スネイプ先生は、もはや“悲劇のキャラクター”ではありません。
X上の投稿から見えてくるのは、彼を「理解しようとするファン」の存在です。
過去の行動や言葉を単に評価するのではなく、「なぜそうなったのか」「どんな想いだったのか」を想像し、寄り添おうとする姿勢。
それこそが、現代のスネイプ人気の本質ではないでしょうか。
彼の物語は、SNS時代においてもなお、私たちに“誠実に生きることの難しさと尊さ”を問い続けています。
